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アスベスト関連法の改正でどう変わる!?


突然ですが、、

解体工事を検討しているものの、
工務店や解体工事会社から「今年の4月から解体費用が大幅に上がる」と言われたことがあるんじゃないでしょうか?

実は石綿(アスベスト)関連の法律「大気汚染防止法」の改正が関係しているんですね。。

今日はその法改正の内容と影響についてお話させていただきます。

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どのような解体をご希望ですか?

大気汚染防止法とは?

そもそも「大気汚染防止法」って何だ!?って感じですよね、、

ご存知の方が多いかもしれませんが、
現在、日本だけでなく世界で問題になっている環境問題の一つが大気汚染です。

大気汚染は環境を破壊するだけでなく
人間の健康にも重大な被害を及ぼしてしまうので
国民の健康の保護・生活環境の保全などを目的として昭和43年に「大気汚染防止法」が制定されたんですね。

ちなみに、大気汚染物質の一つに「特定粉じん」というものがあるのですが、
石綿がこれに該当します。

そして、この法律によって大気汚染物質の排出基準などを遵守する必要があるので、
石綿飛散防止を徹底するために様々な規定があるんですね。

石綿(アスベスト)飛散防止の徹底

石綿は人体に悪影響を及ぼすため、飛散しないよう対策を徹底することが大気汚染防止法において定められております。

そのため以前より以下の規定がありました。

①事前調査・調査結果の提示

そもそも「事前調査って何?何するの?」って感じですよね?

実は建築物には石綿が使用されていることがあるのですが、
よく調べずにいきなり解体してしまうと石綿が飛散してしまい
大変なことになってしまう可能性があるんですよね。

だから工事前に事前調査をする必要があるんです!

そして調査結果については現地で提示する必要があります。

②事前調査結果について元請業者から発注者への報告義務

事前調査をしたらその結果は気になりますよね?

当然、調査結果について元請業者から発注者へ報告する義務があります。

③石綿除去における作業基準の遵守

石綿が含まれている建物を解体する場合、石綿が飛散しないよう作業基準を遵守する義務があります。

因みに、石綿はその飛散性の高さによって3つにレベル分けされているんですね。(後程解説します)

④特定建築材料(レベル1,2の石綿含有建材)が使用されている建物を解体する場合、発注者が都道府県等に届出をする
※特定建築材料とは・・・石綿を飛散させる原因となる建築材料

作業開始の14日前までに都道府県等への届出が必要です。

大気汚染防止法の改正

先ほど、石綿飛散防止策についてお伝えさせていただきましたが、
令和3年より順次法改正が実施されています。

法改正前の石綿飛散防止策では不十分だからなんですね。

石綿は悪性中皮腫や肺がんを起こす発ガン性があるなど危険なのです。。

次に改正内容とそれぞれの実施背景について解説いたします。

①事前調査についての改正

事前調査について、以下のような改正がされております。

石綿含有の事前調査では元請業者等による書面(設計図書等)もしくは目視での調査が義務付けられておりましたが、不適切な事前調査により石綿建材の見落としが発生しているからなんですね。

1.事前調査方法の法定化 (令和3年4月1日施行)

  1.元請業者等による設計図書等での書面調査及び現地での目視調査

 ※書面で平成18年9月1日以後に工事着手した建築物等であることが明らかな場合、目視調査は不要

 ※設計図書がない場合は現地調査前にヒアリング・簡易スケッチの作成をする

 2.書面と目視の調査で石綿有無が不明の場合、(a)分析調査で石綿有無を調べるもしくは(b)石綿含有とみなして対応する

図で見ると以下の流れです。

ちなみに、、事前調査の実施にあたり、
建材の取り外し,点検口のない天井の破壊等,試料採取分析のための壁等の破壊が必要になる場合があります。

2.事前調査に関する記録の作成・保存 (令和3年4月1日施行)

元請業者等に対し、事前調査に関する記録の作成・書面の現場備え付け・記録の3年間保存が義務付けられます。

3.一定規模以上の建築物等について、都道府県等へ事前調査結果の届出義務 (令和4年4月1日施行)

・事前調査の概要

      └調査の流れ(書面調査・現地調査→含有不明の場合は検体調査もしくはみなし処分)

・事前調査結果の報告対象

 └届出が必要となる工事

 ・床面積合計80㎡以上の解体工事

 ・請負代金合計100万円(税込)以上の建築物の改造・補修工事,特定工作物の解体・補修・改造

  ※特定工作物は環境大臣が定めるもの・・・償却設備,加熱炉など

 ※上記金額には事前調査の費用は含まない

 └報告の内容

      事前調査の方法及び結果、建築物等の構造、使用されている建築材料の種類など

4.資格者等による事前調査の義務化 (令和5年10月1日施行)

令和5年10月1日以後、事前調査を以下の「必要な知識を有する者」
に実施させる必要があります。

来年の10月以降に見積を取得する場合、以下のうちいずれかの資格を持っているかどうか確認しましょう!

・一般建築物石綿含有建材調査者

・特定建築物石綿含有建材調査者

・一戸建て等石綿含有建材調査者

※戸建て住宅の調査・共同住宅の住居箇所のみの調査可

・義務付け適用前に一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者

②石綿含有成形板等(レベル3)に係る作業基準の新設(令和3年4月1日施行)

先ほど少しお伝えした石綿のレベルについてですが、
レベル1~3まであります。

レベル数が小さくなるほど飛散性が高くなるため危険ということですね。

戻りますが、石綿の除去作業をする場合、
レベル1,2の石綿については作業基準が定められておりました。

しかし、、石綿含有成形版等(レベル3)の石綿については規制対象となっていなかったので、、
レベル3の不適切な除去により石綿が飛散してしまうという課題がありました。

そのため、全ての石綿含有建材が規制対象となってしまったんですね。

③罰則の強化・対象拡大

先ほど、「作業基準の遵守」についてお話しましたが、遵守しない場合は罰則があるんですね。

ちなみに改正前より罰則はあったのですが、罰則前に「作業基準適合命令」を出す必要がありました。

「作業基準が守られていないので基準を満たすよう改善してくださいね!」という命令です。

しかし、短期間での工事の場合、
作業基準適合命令を出す前に工事が終わってしまうという課題がありました。

そのため法改正により、
吹付け石綿及び石綿含有耐火被覆材等の作業について、
行わなければならない措置及び方法に違反があった場合(隔離等を行わない)には 、
作業基準適合命令を介さずに直接罰則が適用されることになるんですね。

罰則が適用された場合、
3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。
※元請工事会社だけでなく、下請工事会社も対象となります。

④作業記録の作成・保存

石綿の除去作業を行う場合、石綿の取り残しがあってはなりません。

しかし、不適切な作業により石綿含有建材の取り残しがあるケースが発生していたんですね。

そのため以下のような規定ができました。

1.作業記録の作成・保存(解体等完了後3年間)

 ※石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者

  一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者による作成

2.発注者に対する作業結果の報告

法改正により何か影響は出るの!?

お客様に法改正のお話をすると
「自分の解体工事などに影響は出るのですか!?」と質問をよくいただきます。

多くの方にとって「解体」は初めてで分からないことも多く、気になりますよね?最後にその影響について解説いたします。

①解体工期の延長

1つめは解体工期の延長です。

アスベスト調査が徹底されることにより、これまでよりアスベスト含有の建物が高確率で出ると予測されます。

調査の結果含有の場合に解体工期が延長されるため、売却予定の場合は引渡日に余裕を持っておくとよいです!

因みに、、外壁塗装剤での含有が判明した場合は工期が2~3週間程度も伸びてしまう可能性があります。

②資格を持たない工事会社が淘汰される

先ほど解説しましたが、2023年10月からは有資格者でないと事前調査ができません。

そのため、資格を持たない工事会社が淘汰される方向となります、、、

来年の10月以降で解体工事をお考えの場合、時期が近づいてきた時に資格の有無を工事会社へ確認するとよいでしょう。

③工事金額の上昇

先ほども言ったように
事前調査は元々義務でしたが、都道府県への報告は不要であったため
事前調査や作業基準を遵守していない工事会社が多数あったと考えられます。

しかし、今回の法改正により一定規模以上の解体工事について報告が必要になるため、
事前調査や作業基準の遵守がより徹底されることになります。

そのため、今まで調査などを徹底していなかった工事会社からは「4月から大幅に工事金額が上がる」と言われる可能性があるんですね。。

もし言われた場合、「調査は元々義務だったのに何故大幅に上がるのか?」を聞いてみるとよいでしょう。

まとめ

・大気汚染防止法改正により、石綿の取り扱いに関する規定が強化された。

 特に事前調査と調査結果の報告は重要!

・法改正により以下の影響が考えられる

①解体工期の延長

②資格を持たない工事会社が淘汰される

③工事金額の上昇

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