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空き家などの譲渡にかかる3,000万円控除の特例

空き家などの譲渡にかかる3,000万円控除の特例

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空き家対策の「アメとムチの施策」

空き家が深刻な社会問題になっています。特に劣化の激しい空き家は、地域にも美観上、衛生上、防犯上、防災上などのさまざまな面で悪影響を及ぼします。そのため、国も空き家問題の解決のために対策を講じ始めています。
国土交通省の住宅土地統計調査によると、2018年の全国の空き家は約850万戸と、2013年の調査時よりも29万戸増加しました。空き家率は13.6%と、日本の住宅の約7件に1件が空き家となっています。その中でも、賃貸用・売却用・別荘など以外の「その他の空き家」、いわゆる「実家の空き家」は、空き家の約4割を占めており、増加率もほかの空き家と比較して突出しています。
空き家の大きな問題として近隣への悪影響があります。適切な管理がされない空き家は、やがて「お化け屋敷」「ゴミ屋敷」などと呼ばれ、防犯上、防災上のリスクに加え、地域の資産価値をも落としてしまいます。

国は空き家問題に取り組むために、いくつかの施策を打ち出しています。
その中で「ムチの施策」と言えるのが、2014年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」です。
この法律により、市区町村は、地域への悪影響が大きい老朽空き家を「特定空家等」に指定し、空き家の所有者に対して次の手順を踏みながら是正を求めることができるようになりました。
助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行・50万円以下の過料
行政代執行とは、建物の所有者に代わって市区町村が空き家を解体することで、その費用は空き家の所有者に請求することになります。

また、住宅が建っている土地は、200㎡以下の部分が小規模住宅用地として固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されていますが「勧告」の段階でこの軽減の適用がなくなります。
建物がどんなに老朽化しても取り壊さない理由の一つに「家が建っている土地は税金が安い」ということがありますが、軽減が適用されなくなれば、古くなった空き家を残しておいてもメリットがありません。このようにムチをチラつかせながら老朽空き家の増加を抑えることを目指しています。

これに対して「アメの施策」と言えるのが「空き家の譲渡所得の特例」です。
不動産を売却した際に売却益(譲渡所得)が生じた場合は譲渡所得に対して税金がかかります。

譲渡所得は以下の計算式で計算します。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費とは、売却した空き家を取得したときの価格から、経年による建物の価値の目減り分(減価償却費)を差し引いた金額をいいます。ところが親から引き継いだ空き家の場合、取得費が分からないことも多く、その場合、取得費は売却価格の5%とすることになっています。そうなると差し引くことのできる経費が少なくなってしまい、多額の税金がかかる可能性があります。

しかし、相続した空き家およびその土地を、相続日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却した場合は、以下の計算式の通り特別控除3,000万円を差し引くことができるようになりました。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除3,000万円

つまり、相続した空き家を売却したときに、売却益が3,000万円以下であれば特別控除を差し引くと譲渡所得はゼロ(マイナスの場合はゼロ)になり、税金がかかりません。

特例を受けるための条件

この特例を受けるためには、まず建物または土地が以下の適用要件にあてはまることが必要になります。

  1. 建物は1981年(昭和56年)5月31日までに建築されたものであること。区分所有建築物(マンション)は除く。
  2. 相続開始直前において被相続人が居住していたこと。ただし、被相続人が老人ホームなどに入居していた場合でも介護認定を受けていれば適用の対象となる。
  3. 相続開始直前において、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと。
  4. 相続時から譲渡時まで、事業、貸付、居住用に提供していなかったこと。
  5. 建物を解体し土地だけで売却する場合、相続開始直前において、①~④を満たした建物が建っていた土地であること。

次に、売却する際の適用要件は以下の通りです。

  1. 売却金額が1億円以下であること。
  2. 建物付きで売却する場合は建物が現行の耐震基準を満たしていること。

なお、この特例は2023年12月31日までの譲渡に適用されることになっています。

売却方法の工夫で得をする~空き家を解体してから売却~

空き家の特例を受けるためには、建物が「現行の耐震基準を満たす」必要があります。
ところが別の適用要件である「1981年5月31日以前に建築された建物」とは、旧耐震基準での建物ということであり、耐震性は低いとされています。そのため建物の耐震診断をした上で、耐震性が現行の基準に満たない場合は、耐震補強工事をしてから売却しなければなりません。
耐震補強の工事費は、木造住宅の場合でも数十万円から100万円以上かかるとされており、売主にとって大きな負担となってしまいます。

そこで、この特例では、相続時に適用要件を満たす建物が建っていたことが証明できれば、建物を解体した後の土地だけで売却しても良いとしています。

特に、1981年以前に建築されたの建物は少なくとも38年以上前の建築となるため、買主が中古住宅として住む可能性は低いでしょう。その建物に耐震補強工事を施して売却するよりも、解体工事費がかかっても更地にして売却するほうが、最終的にはお得になる可能性が高いのではないでしょうか。

なお、この特例は1981年6月1日以降に建築された建物では適用されません。
適用されない空き家を売却する場合は父母や祖父母が実家を建築・購入した際の契約書などが残っているか、あらかじめ調べておくことも大切です。

空き家の売却をする場合、特例が使えるかどうかを確認し、使える場合には家付きで売るのか解体して売るのかも検討し、期限内に売却できるように早めに準備をしておくことが大切です。

この記事を書いた人

橋本 秋人

橋本 秋人

FPオフィス ノーサイド代表 CFP® 1級FP技能士 終活アドバイザー 大学卒業後、住宅メーカーで30年以上相続対策、個人の不動産活用、CREなどを担当。 独立後はセミナー講師、執筆、相談、実行支援を中心に活動。 終活アドバイザー協会(NPO法人ら・し・さ)理事 埼玉県定期借地借家権機構理事』

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