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【賃貸・空き家・解体前】残置物とは?処分方法・費用・注意点を解説


                 

賃貸の退去、空き家の相続、住宅の解体や売却――そんな場面で意外と悩まされるのが「残置物」の存在です。

「この荷物、勝手に処分してもいいの?」「処分費用は誰が払うの?」「放置したままだとトラブルになる?」など、不安や疑問を抱く人も多いはず。

実際、残置物の扱いを誤ると、損害賠償や訴訟といった法的トラブルにつながるケースもあります。だからこそ、正しい知識と慎重な対応が欠かせません。

本記事では、

  • そもそも残置物とは何か?
  • 賃貸・相続・解体・売却などシチュエーション別の対応方法
  • 処分費用の目安や、業者選びのポイント
  • よくあるトラブル事例と防止策
    といった内容をわかりやすく解説します。

「残置物で失敗したくない」という方は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 残置物とは?定義と代表的なケース
  2. 賃貸物件における残置物とは
  3. 相続・空き家における残置物の扱いと注意点
  4. 解体・売却前の残置物|なぜ事前処分が必要?
  5. 残置物の処分方法と費用相場|自分でやる?業者に頼む?
  6. まとめ

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1.残置物とは?定義と代表的なケース

残置物は、「ざんちぶつ」と呼び、建物の中や敷地内に前の所有者や使用者が残した家具や家電、生活用品などを指します。を指します。

具体的な残置物の例

  • 大型家具(タンス、ベッド、ソファなど)
  • 家電製品(冷蔵庫、洗濯機、テレビなど)
  • キッチン用品や日用品
  • 衣類や本、趣味の品
  • 仏壇や位牌、アルバムなどの思い出の品

これらはすべて「誰かの所有物」であるため、処分には注意が必要です。

■「設備」との違いに注意
残置物とよく混同されがちなのが「設備」です。設備とは、貸主(オーナー)が物件に備え付けている備品類のことエアコンや給湯器、キッチン周りの装備などが該当し、契約書にも設備一覧として明記されているのが一般的です。

また、残置物は「産業廃棄物(事業系ごみ)」と「一般廃棄物(家庭ごみ)」の二つに分類されます。

廃棄物についての詳細は、下記からご覧ください。

2.賃貸物件における残置物とは

賃貸物件では、借主が退去時に家具や家電などの私物を置いたまま引っ越してしまうケースが少なくありません。たとえば、家賃の滞納が続いたまま連絡が取れなくなり、夜逃げのような形で退去したケースでは、室内に大量の生活用品やゴミがそのまま残されていることもあります。

さらに、借主が亡くなったことで、残置物だけが部屋に残されるケースもあります。このような場合、誰に処分の責任があるのか、またどう対応すべきかが曖昧になりやすく、貸主としては対応に頭を悩ませる状況となります。

貸主・管理会社の対応は?勝手に処分できる?

結論からいうと、貸主が残置物を勝手に処分することは原則としてできません。
なぜなら、処分対象となる物が元借主の所有物である可能性があるからです。

民法では、他人の所有物を無断で処分すれば「不法行為」として損害賠償責任が発生する可能性があります。さらに、法的には「自力救済の禁止」の原則があるため、裁判所などの手続きを経ずに処分する行為はリスクを伴います。

▼実際に起こり得るトラブル例

例①:退去後に私物が大量に残されていたため、貸主が無断で処分したケース
家賃滞納で音信不通となった借主が退去した後、部屋には家財道具が多数残されていた。困った貸主がこれを業者に依頼して処分したところ、後日借主から「私物を勝手に捨てられた」として損害賠償を請求された。

例②:借主が死亡し、遺族との連絡が取れないまま残置物を処分したケース
借主の死後、相続人と連絡が取れない状態が続いたため、貸主の判断で残置物を撤去。しかしその後、相続人が現れ「所有物を勝手に処分した」と主張し、法的責任を問われかけた。

残置物トラブルを防ぐために事前に明記・合意しておくべきポイント

残置物に関するトラブルは、「何が誰のものかが不明確」「どう処分してよいかわからない」といった認識のズレから発生します。トラブルを未然に防ぐには、以下のようなポイントを契約書・覚書・事前合意書・管理マニュアルなどに明記・共有しておくことが大切です。

1. 「残置物」の定義を明確にする

  • 設備と私物(残置物)の区別を明確に
  • よくある残置物(家具・家電・日用品など)を例示する

2. 退去時の残置物対応ルールを明記

  • 借主は退去時に残置物をすべて撤去する義務があること
  • 放置された場合、通知の上で一定期間保管・その後に処分する旨を記載
  • 処分費用の負担者(原則:借主または相続人)を明確にする

3. 貸主が処分する際の手続きフロー

  • 処分前に必ず借主または相続人に連絡・同意を得ること
  • 一定期間反応がない場合は法的な手続き(内容証明送付・相続財産管理人の選任など)を取る

国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」の活用も有効

残置物に関するトラブルを未然に防ぐための一つの手段として、国土交通省が公表している『残置物の処理等に関するモデル契約条項』を参考にするのも有効です。

このモデル条項では、以下のような内容が具体的に盛り込まれています:

  • 残置物の所有権の取り扱い
  • 借主死亡時の処理フロー(相続人への通知、処分同意の取得など)
  • 処分手続きとその費用負担のルール
  • 事前合意の形式(書面で残すこと)

これらを自社の契約書や管理マニュアルに落とし込むことで、より実務に即した明文化が可能になります。
特に、賃貸物件を複数管理しているオーナー・管理会社の方は、このモデル条項をベースにした運用ルール整備をおすすめします。

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3.相続・空き家における残置物の扱いと注意点

相続した家に残る「残置物」とは?

親が亡くなり、相続した家に家具や衣類、日用品などがそのまま残っている。これは典型的な「相続における残置物」のケースです。

こうした残置物は、故人の遺産の一部と見なされるため、相続人以外が勝手に処分することはできません。
処分の権利を持つのは、正式な相続人だけです。

たとえ近しい親族であっても、相続人でなければ法的に処分する権利はありません。
また、相続人が複数いる場合は、全員の同意を得てから処分を進めるのが望ましいとされています。

相続放棄した場合の残置物はどうなる?

「相続放棄をすれば残置物の処分も関係ない」と思われがちですが、実際には注意が必要です。

相続放棄をすると、法律上は最初から相続人でなかったとみなされるため、残置物の処分には関与できなくなります。
しかし、次の相続順位の人が手続きを完了するまでの間、空き家や残置物の管理を求められることがあります。これがいわゆる「管理義務」です。

放棄したはずの家に関わらざるを得ない…というケースもあるため、相続放棄を検討している場合は、残置物をどう扱うかも含めて事前に専門家へ相談することをおすすめします。


空き家と残置物|特定空家のリスクに注意

空き家を長期間放置していると、老朽化や害虫の発生などにより、「特定空家」に指定されることがあります。
この指定を受けると、以下のようなリスクがあります。

  • 自治体から改善命令や解体命令が出る
  • 固定資産税の軽減措置が外れる(税負担が大幅に増える)
  • 解体したくても残置物の処分が済んでいないと工事に入れない

つまり、残置物の放置は法的・経済的なトラブルの引き金にもなり得るのです。


4.解体・売却前の残置物|なぜ事前処分が必要?

解体工事前に残置物を処分すべき理由

家を解体する前には、室内にある家具・家電・衣類・日用品などの残置物をすべて撤去しておく必要があります
というのも、解体業者は建物本体の取り壊しのみが基本業務であり、内部のゴミや不用品の処分は含まれていないからです。

残置物が多く残ったままだと…

  • 作業に支障が出てスケジュールが遅れる
  • 追加費用が発生する
  • 業者から工事を断られる場合がある

など、トラブルの原因となります。

スムーズに解体工事を進めるには、着工前に残置物をすべて撤去しておくことが原則です

解体業者に残置物処分を依頼できるケースと注意点

解体業者によっては、オプションで残置物の撤去や処分を代行してくれる場合もあります。
ただし、それが可能なのは、業者が「一般廃棄物収集運搬業」の許可を取得している場合に限られます*

この許可がないにもかかわらず残置物の回収を行うと、法律違反となる恐れがあります。

依頼する際は、以下のポイントを確認しましょう

  • 残置物処分もお願いできるか?
  • 適法な許可(一般廃棄物収集運搬業)を取得しているか?
  • 追加費用はいくらか?

見積もりの段階で明確にしておくことで、違法回収や追加請求などのトラブルを防げます。


売却予定の空き家・中古住宅でも残置物は要注意

空き家や中古住宅を売却する際も、残置物は大きなマイナスポイントになります。

内覧に訪れた買い手が、部屋にゴミや私物が残っているのを見ると

  • 「片付けが大変そう…」
  • 「追加費用がかかりそう…」

といった印象を持ち、購入を見送るケースも少なくありません。

できる限り、内覧前にすべての残置物を撤去し、空の状態にしておくことが理想です。

やむを得ず残置物が残る場合でも、以下のように契約書に明記しておきましょう:

  • 「売主負担で撤去予定」
  • 「現状有姿で引き渡し」

こうした対応を事前に行うことで、買主とのトラブルを回避し、スムーズな売却が可能になります。

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5.残置物の処分方法と費用相場|自分でやる?業者に頼む?

自分で処分する方法

残置物が少量であれば、自治体の粗大ゴミ回収や、家庭ゴミとして分別・搬出する方法があります。
各自治体によってルールが異なりますが、主な方法は以下の通りです:

  • 粗大ゴミの戸別回収(事前申し込み制、数百円〜/点)
  • 清掃センターへの直接持ち込み(自家用車利用)
  • フリマアプリやリサイクルショップでの売却

ただし、大型家具や家電が複数ある場合は、自力では搬出作業や分別が大変です。高齢の方や遠方に住んでいる場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。

業者に依頼した場合の費用相場

残置物の量や部屋の広さによって、費用は大きく変わります。以下はおおよその目安です:

間取り費用相場
1R〜1K2万〜8万円
2DK〜3LDK10万〜30万円
戸建て(空き家)20万〜50万円以上

料金には、人件費・運搬費・処分費・仕分け作業費などが含まれます。特に大量のゴミや家電、布団や本など分別が必要なものが多いと料金は上がる傾向にあります。
また、エアコン・冷蔵庫・洗濯機・テレビなどの家電リサイクル対象品は、リサイクル料金が別途必要です。

残置物撤去業者の選び方

残置物を安心して処分するためには、信頼できる業者選びが重要です。以下のポイントを参考にしましょう。

  • 一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか
  • 見積もり内容が詳細で、追加料金の有無が明記されているか
  • 口コミや評価が高く、作業実績が豊富か
  • 料金が極端に安すぎない(違法業者の可能性)

可能であれば、複数の業者から相見積もりを取り、比較検討すると安心です。

まとめ

残置物の処分は、「ただ捨てる」だけでは済まない問題です。
法的な確認・適切な同意・信頼できる業者選びを押さえることで、後のトラブルや金銭的リスクを大きく減らすことができます。

特に、空き家の解体や売却、賃貸管理に関わる場面では、事前の準備と明確な対応が重要です。
「残置物の処分」で悩んでいる方は、まず現状の把握と、専門家や業者への相談から始めてみましょう。


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