建て替え費用は20坪でいくら?土地あり・なし別の相場とコストを抑えるコツ
「今の家が古くなってきたし、そろそろ建て替えを考えたい…でも20坪の家って、建て替えるといくらかかるんだろう?」
こんなふうに、「まずはざっくりと費用を知りたい」という段階の方も多いのではないでしょうか。
実は、建て替え費用は建物のグレードや工事内容によって大きく変わるため、最初に「全体の相場感」と「内訳のイメージ」をつかんでおくことがとても大切です。
この記事では、20坪の家を建て替える場合の費用相場と、検討時に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
建て替えとリフォームで迷っている方にも役立つ内容なので、ぜひ最後までご覧ください。
【土地あり・土地なし別の目安】20坪の建て替え費用はどのくらい?
20坪の家を建て替える場合、「すでに土地を所有しているかどうか」でかかる費用が大きく変わります。
ここでは「土地あり(建て替え)」と「土地なし(新たに土地を購入+注文住宅を建てる)」の2つのケースに分けて、20坪の建て替え費用の目安をご紹介します。
土地ありの場合(建て替え)
国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査」によると、土地を所有したうえで建て替えを行った世帯の平均購入資金は以下の通りです。
- 建て替え世帯の平均購入資金:5,745万円
- 延べ床面積の平均:41坪
このデータをもとに1坪あたりの建設費を算出すると、以下の通りとなります。
5,745万円 ÷ 41坪 ≒ 約140.1万円/坪
この坪単価をもとに、20坪の建て替え費用を算出すると…
140.1万円 × 20坪 ≒ 約2,802万円
つまり、土地をすでに所有している場合、延べ床20坪の建て替えには 約3,320万円前後が目安となります。
つまり、土地をすでに所有している場合、20坪の建て替え費用はおよそ2,800万円前後がひとつの目安となります。
なお、20坪のようなコンパクトな住宅では、設備費の影響が大きく坪単価が割高になるケースもあるため、実際には3,000万円前後になることも想定しておきましょう。
土地なしの場合(土地購入+注文住宅)
同じく国土交通省の調査では、土地を購入して注文住宅を建てた世帯の平均は以下の通りです。
- 土地購入+建築世帯の平均購入資金:5,811万円
- 延べ床面積の平均:35坪
このデータをもとに1坪あたりの建設費を算出すると、以下の通りとなります。
5,811万円 ÷ 35坪 ≒ 約166.0万円/坪
この坪単価をもとに、20坪の建て替え費用を算出すると…
166.0万円 × 20坪 ≒ 約3,320万円
つまり、土地をすでに所有している場合、延べ床20坪の建て替えには 約3,320万円前後が目安となります。
つまり、土地を持っていない場合、20坪の注文住宅を建てるには3,300万円前後の予算が必要になります。
加えて、土地の購入費用も必要になるため、総額では4,000万円〜5,000万円台になるケースも少なくありません。

建て替え費用の内訳とポイント
30坪の家を建て替えるとき、費用の大半は「建物本体価格」ですが、それ以外にも見落としがちな費用がいくつかあります。ここでは、建て替えにかかる費用の内訳と、知っておきたいポイントをご紹介します。
建物本体工事費

建て替え費用の中で最も大きな割合を占めるのが「建物本体価格」です。これは、新しい家を建てるための工事費用(建築費用)にあたります。
金額は主に、1坪あたりの単価(坪単価)と建てる家の広さ(坪数)によって決まります。
坪単価の目安(グレード別)
住宅タイプ | 坪単価の目安 |
---|---|
ローコスト住宅 | 60万円〜80万円/坪 |
中堅ハウスメーカー | 90万円〜120万円/坪 |
ハイグレード住宅 | 130万円以上/坪 |
たとえば、坪単価100万円の住宅を30坪で建てた場合、建物本体価格は約3,000万円となります。
建築費用が変動する主な要因
建て替えにかかる建築費用は、以下のような条件によって大きく変動します。
- 家の大きさ(坪数)
- 構造の種類(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)
- 使用する外壁や屋根の素材
- キッチンや浴室などの水回り設備のグレード
- 依頼する建築会社の方針や工法
特に設備のグレードや間取りの自由度、断熱性能などによっても、総額は大きく上下します。
付帯工事費(建物以外の整備にかかる費用)

付帯工事費用とは、建物の完成に必要な工事や設備のことを指します。具体的には、以下のような項目が含まれます。これらの費用は、家を完成させて住める状態にするために必要な工事です。
- 外構工事費用:駐車場・カーポート・フェンスの設置、庭や植栽の整備、照明や防犯設備の整備などの工事費用
- 地盤改良費用(必要な場合):家を建てる前に地盤調査を行い、その調査に応じて地盤の改良を行う事が必要な場合があります。
- 給排水工事費用:水道やお湯の供給、キッチンや浴室などで使用する配管の設置費用
- ガス・電気工事費用:ガスや電気の配線・配管工事、設備の設置費用
規模にもよりますが、100万円〜300万円程度を見込んでおくと安心です。
解体費用

解体費用とは、家を壊すためにかかる費用のことを指します。新しい家を建てるためには、まずは既存の家を解体する必要があります。家の大きさ、立地条件、残置物やアスベストの有無によって費用が異なります。
おおよその相場は構造ごとに以下のように考えることができます。
- 木造住宅の解体費用の坪単価:31,000円〜44,000円/坪
- 鉄骨造住宅の解体費用の坪単価:34,000円〜47,000円/坪
- 鉄筋コンクリート造住宅の解体費用の坪単価:35,000円〜80,000円/坪
追加費用に注意したいケース
基本の解体費用以外に、以下のようなケースでは追加費用が発生する可能性があります。
- 地中埋設物(古い基礎、井戸、浄化槽などの撤去)
- アスベスト使用(事前調査+除去費用が必要)
- 狭小地・旗竿地などで重機が入りにくい土地
- 残置物処分(家具・家電・生活用品などの撤去)
すでに更地になっている土地を購入する場合、解体費はかかりません。その分、建築費や設備に予算を回せます。ただし、埋設物の有無や整地の状態は事前確認を忘れずにしましょう。
諸費用(手続き・仮住まい・引っ越し費用など)

見落とされがちですが、諸費用もまとまった金額になることがあります。
- 設計料・建築確認申請費用
- 登記費用(建物滅失・表示登記など)
- 引っ越し・仮住まい費用
- 住宅ローンの手数料・保証料
- 火災保険料などの保険料
諸費用の目安は総額の5〜10%程度が一般的です。
「建て替え=建物本体費用」だけを見て判断してしまうと、後から追加費用が膨らんでしまうケースも。
総額で考えることが“予算オーバーを防ぐコツ”です。

リフォームと建て替え、どっちが得?
家を新しくしたいと考えたとき、「リフォームで済ませるか」「思い切って建て替えるか」で迷う方は少なくありません。
費用・工事規模・住まいの寿命といった観点から、それぞれの違いや向いているケースを整理しておきましょう。
リフォームとは?
リフォームは、既存の建物を残したまま、設備や内装を新しくする工事のこと。
老朽化した水回りの改修から、構造以外すべてを入れ替えるスケルトンリフォームまで、幅広い工事内容があります。
<リフォームのメリット>
- 建物を活かすため、建て替えより費用を抑えやすい
- 状況によっては住みながら工事が可能
<リフォームのデメリット>
- 建物の構造に問題がある場合は対応が難しい
- 耐震性・断熱性など根本的な性能向上には限界がある
- 一部の修繕やリフレッシュで十分な状態
- あと数年住めればいいと考えている
- できるだけ費用を抑えたい・工期を短くしたい
建て替えとは?
建て替えは、既存の住宅を解体して、新たに一から家を建て直すことを指します。
間取りの自由度が高く、耐震・断熱などの性能も最新基準で設計できるのが魅力です。
<建て替えのメリット>
- 新築同様の快適性や最新設備が手に入る
- 間取りや構造を自由に設計できる
<建て替えのデメリット>
- リフォームに比べて費用がかかる傾向
- 仮住まいや引越しなど、一時的な負担が大きい
- 築30年以上で、建物の老朽化や劣化が進んでいる
- 木造在来工法で、耐震性に不安がある
- 間取りを大きく変更したい、または二世帯住宅にしたい
- 今後も30年以上住み続ける予定がある
【費用比較】リフォームと建て替え、どれくらい違う?
工事内容 | 費用相場(20坪の場合) | 補足ポイント |
---|---|---|
リフォーム | 300万〜1,500万円 | 範囲次第では数百万円に抑えることも可能 |
スケルトンリフォーム | 1,000万〜2,000万円 | 建て替えに近い総工費となるケースも |
建て替え | 2,500万〜4,000万円 | 解体・仮住まい・外構などの諸費用も発生 |
年数や構造、今後のライフプランを踏まえたうえで、最適な選択をしましょう。
20坪の家を建て替える際の注意点
20坪の建て替えはコンパクトな分、設計や施工の自由度が限られる場面もあります。後悔しないためには、以下のポイントに注意しておきましょう。
建ぺい率・容積率の制限に注意
建て替えでは、「今と同じ広さの家が建てられる」と思いがちですが、建ぺい率や容積率の制限により、以前より建物面積が狭くなるケースもあります。特に古い家は、建築当時の法規制のまま建てられていることが多く、現在の基準に合わせると制限を受けやすい点に注意が必要です。
接道義務やセットバックの確認
建築基準法では、幅4m以上の道路に2m以上接している土地でないと家を建てられないという「接道義務」があります。前面道路が狭い場合、セットバック(道路後退)が必要となり、その分建てられる家の面積が小さくなる可能性があります。
解体しにくい場所は費用が割高に
住宅が密集したエリアでは、隣家との距離が近い・重機が入らないといった理由で、解体費用が高くなることもあります。事前に解体業者に現地調査を依頼し、見積もりをしっかり確認することが大切です。
平屋 or 2階建て? ライフスタイルで選ぶ
限られた面積で快適に暮らすには、間取りの工夫が重要です。階段のない「平屋」はバリアフリーで人気がありますが、20坪だと居住スペースが限られるため、2階建ての方が空間を広く使えるケースもあります。ライフスタイルや将来の家族構成をふまえて、最適な形を検討しましょう。
費用を抑えるコツと補助金情報
費用の中でも費用を削減できる「建築費用」と「解体費用」に注目して、それぞれの費用を抑えるための具体的なコツをご紹介します。
建築費用を抑えるコツ
複数のハウスメーカー・工務店で相見積りを取る
同じ坪数・設備でも、施工会社によって価格差が出ます。希望条件を伝えた上で、複数社から見積りを取り比較することが第一歩です。
セミオーダー住宅や規格住宅を検討する
完全注文住宅よりも、「セミオーダー住宅」や「規格住宅」を選ぶことで、設計や仕様の標準化により本体工事費を抑えることが可能です。
住宅タイプ | 特徴 | 建築費目安(40坪の場合) |
---|---|---|
ローコスト住宅 | 建材や仕様を標準化し、コストを削減。工期も短め | 約2,800万〜3,200万円 |
規格住宅 | 間取り・仕様が固定化されており打合せ負担も少ない | 約3,000万〜3,400万円 |
価格を抑えたい方には人気ですが、「必要な設備が揃っているか」「将来の間取り変更は可能か」といった長期視点での確認も重要です。
建て替えに活用できる補助制度を利用する
自治体によっては、建て替えに関連する補助金や優遇制度が設けられている場合があります。ここでは、建て替えを行う際に利用できる主な補助金や優遇制度についていくつかご紹介します。
- 住宅ローン控除(減税)
住宅ローン減税は、住宅を購入したり建て替えたりした際に、一定の条件を満たすとおさめた税金の一部が戻る制度です。
住宅ローン控除をはじめて受ける場合は、住宅の区分に応じた提出書類を添付して確定申告をする必要があります。
引用:国税庁 住宅ローン控除を受ける方へ
- 長期優良住宅認定制度
長期優良住宅認定を受けることで、建物の耐久性やエネルギー効率が高いと認められ、税制上の優遇措置や補助金が受けられます。建て替えを行う場合に、これを活用することで、減税や住宅ローンの金利優遇を受けることができます。また、長期優良住宅に認定されると、耐震性や省エネルギー性能が確保されるため、将来的な修繕費用や光熱費の節約にも繋がります。
新築、増築、分譲マンションなどの種類によって適用される制度が異なります。
詳しく知りたい方は下記のURLをチェックしてみましょう。
- 省エネ住宅補助金
建て替えを行う際に、環境に配慮した省エネ住宅を建てる場合、一定の条件を満たすことで省エネ住宅に対する補助金が支給されることがあります。省エネ住宅、またはエコ住宅とは、一般的に家の断熱性や気密性を高めることで、冷暖房機器の使用エネルギーを抑えることができる住宅のことを指します。このような住宅は、エネルギー効率が高く、環境負荷の軽減にも貢献します。
- 地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、地域ごとの特色を生かした省エネ住宅の普及を促進するための補助金制度です。地方自治体と連携して、地元で使用される材料や建材を活用し、環境に配慮した住宅を建設することで、補助金を受けることができます。建て替えを行う際、地元の特性を生かした建築が可能な場合に適用されるため、地域活性化にも貢献する制度です。
- 空き家活用促進補助金
空き家を取り壊し、新たに住宅を建てる場合、空き家活用促進補助金が活用できることがあります。この補助金は、空き家の所有者がその不動産を有効活用するための助成金で、空き家を解体して新しい住宅を建てる場合に支給されることがあります。自治体ごとに異なるため、地域の条件や支援内容を確認することが重要です。
- 住宅性能向上支援事業
住宅性能向上支援事業は、既存の住宅の性能を向上させるための改修工事に対して補助金を支給する制度ですが、建て替え時に適用できる場合もあります。これには、耐震性の向上や断熱性能の改善、バリアフリー対応などが該当し、建て替え時にこれらの性能向上を図る場合には、支援を受けることができます。
解体費用を抑えるコツ
残置物(家具・家電・日用品など)を自分で処分する
建て替え前の家に残っている家具や家電、日用品などの「残置物」は、解体工事とは別に処分費がかかるケースが多いです。解体業者にすべて処分を依頼すると、追加費用が発生してしまいます。
そのため、自分で処分することで解体費用を安く抑えることができます。
【粗大ごみ(家具・家電など)の処分方法】
- 自分でリサイクルセンターに持ち込む
- 自治体の粗大ごみ回収を利用する
【日用品や不要品の処分方法】
- メルカリやジモティーで販売・譲渡する
- 不燃ごみとして自治体に出す
なお、粗大ごみや不燃ごみの回収を自治体に依頼する際は、
「〇〇市 粗大ごみ」などで検索すると、各自治体の回収方法や料金が確認できます。
費用は数百円~数千円程度で済む場合が多く、解体業者に任せるよりもコストを大幅に抑えられます。
複数の業者から相見積りを取る
解体工事や新築工事の費用は、依頼する会社によって大きく異なります。
そのため、複数の業者から相見積りを取り、比較検討することが非常に重要です。
特に注意したいのは、紹介手数料や中間マージンが上乗せされているケースです。間に複数の業者が入ることで、本来よりも高い建て替え費用がかかってしまうこともあります。
まとめ
20坪という限られた広さでも、建て替え次第で快適な暮らしを実現することは十分可能です。
ただし、建ぺい率や接道条件といった法的な制約、解体・仮住まいといった費用面の不安、平屋・二階建てなど間取りの選択肢など、事前に確認すべきことは多くあります。
また、リフォームとの違いや費用感を比較した上で、将来のライフスタイルに合った選択をすることも大切です。
建て替えを検討している方は、まずは信頼できる専門家に相談し、複数の選択肢から納得のいく道を選ぶことをおすすめします。あなたの家づくりが、納得のいくものになりますように。
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