浄化槽の汲み取り料金はどのくらい?撤去前の汲み取り時期や撤去費用相場も併せて解説
「解体前に浄化槽の汲み取りが必要って言われたけど費用はどれくらい掛かる?」
住宅の解体をする際、浄化槽があれば解体前に汲み取りが必要です。
しかし、汲み取り費用はどれ位かかるのか、どこに依頼すればいいのか分からないという方も多いでしょう。
また、どのタイミングで汲み取りすればいいのかなど理解しておかないといけないことも多いものです。
この記事では、浄化槽の汲み取り料金の目安や汲み取り時期を分かりやすく解説します。
併せて、撤去費用の相場や費用を安く抑えるコツも紹介するので参考にしてみてください。
浄化槽の汲み取り料金相場
浄化槽の汲み取り料金の相場は2万円~5万円ほどが目安となります。
これは、130㎡以下の住宅に設置する5人槽の場合の料金目安です。
浄化槽のサイズが130㎡以上の住宅に設置する7人槽や水回りの設備が2世帯分ある場合に設置する10人槽の場合は、費用がこれより高くなるでしょう。
また、地域や業者によっても大きく異なるので注意が必要です。
浄化槽には2つの種類がある
そもそも浄化槽とは、敷地内に設置された生活排水を浄化する設備のことを言います。
日常生活で排水される汚水やし尿などを微生物の力で浄化し、きれいな水にして放流する役割を担っているのです。
浄化槽はすべての住宅に設置されているわけではありません。
公共の下水道を通して、地域の下水処理場で処理する場合浄化槽は設置されていないのです。
そのため、下水道の届かない地域などで浄化槽が設置されているのが一般的です。
ちなみに、浄化槽と汲み取りトイレは別のものになります。
汲み取りトイレは、し尿などをタンクにためるだけの設備です、
定期的に専用のバキュームカーでの回収が必要なので、この汲み取りトイレになります。
それに対し、浄化槽は汚水を浄化する機能を備えている設備です。
自動で汚水処理機能が働くため、浄化後の水を放流することが可能になり汲み取りトイレのように回収は必要ないのです。
浄化槽には、大きく次の2つの種類があります。
- 合併浄化槽
- 単独浄化槽
合併浄化槽
合併浄化槽とは、生活排水すべてをきれいな水にできる浄化槽のことを言います。
トイレの汚水のみでなく、キッチンや洗面台・洗濯機など生活で排出される生活排水すべてを浄化できます。
合併浄化槽では、BOD除去率が90%以上・浄化した水1リットル当たりBOD20mg以下という基準があります。
BODとは、微生物が成長する際に必要な酸素量のことをいい、数値が高い(=酸素が無くなる)と微生物が成長できずに汚水がそのまま残るのです。
水質汚染の指標ともなり、BODの数字が高いほど水中が汚れているということになります。
合併浄化槽のメリット
合併浄化槽のメリットとして次のようなことがあります。
- 生活排水をすべてきれいにできる
- BOD除去率が高い
合併浄化槽は、生活で排出されるすべての汚水の処理が可能です。
また、BOD除去率が90%以上になるように設計されており、高いBOD除去率という特徴もあります。
これは、生活排水の汚れを90%以上浄化する=汚れを10分の1以下にまで抑えられるということです。
環境保護の観点からも、優れた機能を持っているのが合併浄化槽と言えるでしょう。
平成12年の法改正により現在設置されている浄化槽のすべてが合併浄化槽となります。
また、それ以前に設置されている浄化槽も、この合併浄化槽への交換が進められているのです。
単独浄化槽
単独浄化槽とは、トイレから排出される汚水のみを処理する浄化槽のことを言います。
個別処理浄化槽やみなし浄化槽とも呼ばれ、このタイプはトイレ以外の生活排水の浄化はできません。
単独浄化槽での、BOD除去率は65%以上・浄化した水1リットル当たりBOD90mg以下です。
また、作られた年代により大きく次の4つの型に分かれます。
- 腐敗タンク型
- 全ばっ気浄化槽
- 分離ばっ気浄化槽
- 分離接触ばっ気浄化層
いずれの型であっても、トイレの汚水のみの浄化という点は変わりません。
また、平成12年の法改正にともなり、単独浄化槽の使用が禁止されているため、それ以降製造・販売はされていません。
しかし、それ以前に設置されているものはそのままの可能性が高く、特に山間部などではまだこの単独浄化槽という地域も多くあるのです。
単独浄化槽のメリット
単独浄化槽のメリットとしては、次のようなことがあります。
- 設置が簡単
単独浄化槽は、合併浄化槽に比べ配管の数が少なく比較的設置が簡単というメリットがあります。
そのため、下水道が整備されていない場所でも設置しやすく、以前は単独浄化槽が普及していたのです。
浄化槽の汲み取りはどこに依頼したらいい?
浄化槽では汲み取りが必ず必要になります。
そもそも、浄化槽の汲み取りとは、浄化槽にたまった固形物を取り除く定期的な清掃のことを言います。
浄化槽の仕組みとしては、流れ込んだ排水を液体と固形物に分離し、きれいな水を消毒して放流するのが一般的です。
そのため、流れ込んだ固形物は浄化槽の中に溜まっていくのです。
汲み取りせずに放置している場合、浄化槽の機能低下や排水不良を引き起こし、浄化不良や悪臭の原因となります。
さらに、汚水がそのまま川に流れ込むなどの環境へ悪影響を及ぼす恐れがあるのです。
定期的に汲み取りが必要ですが、使用者自らできるものではないので注意しましょう。
ご依頼は浄化槽保守点検業者へ
浄化槽の汲み取りは、自治体から許可を得た浄化槽清掃業者への依頼が必要です。
基本的には、浄化槽を設置している場合は、特定の浄化槽保守点検業者と契約を結んでいるので、その業者に連絡すればよいでしょう。
依頼先を変更するときは自治体に確認する
浄化槽の保守点検業者を変更したい、もともと契約していないという場合は、業者の変更も可能です。
この場合は、自分で業者を見つけて契約する必要があります。
自治体で、浄化槽清掃業者の一覧を確認できるので、確認するとよいでしょう。
浄化槽汲み取りのタイミングは?
浄化槽は、「浄化槽法」という法律により、清掃や点検などが細かく定められています。
浄化槽を設置している場合、この法律に則って定期的に清掃や点検をしないと違法となってしまうので注意しなければならないのです。
浄化槽法では、浄化槽使用者に対し次の3つの実施を求めています。
- 法定検査
- 保守点検
- 定期清掃
それぞれ実施時期や実施項目を定められているので、法律に則って実施する必要があるのです。
法定検査の概要と時期
法定検査では、主に次のような検査を行います。
- 設置状況や悪臭状況・水の流れなどを検査する「外観調査
- 残留塩素などの水分中の成分を調査する「水質検査」
- 過去の検査記録と照らし合わせる「書類検査」
浄化槽の処理方法や設置している都道府県によっても検査項目や処理方法が異なります。
また、法定検査は次の種類があります。
- 浄化槽を使い始めてから3ヵ月~5か月以内に検査する「水質に関する検査」
- 毎年1回定期的に検査する「定期水質検査」
定期検査をきちんとしている場合でも、保守点検は必要です。
保守点検では、浄化槽装置の稼働状況を確認し、定期清掃以外にも清掃が必要なのかを判断するものです。
浄化槽の種類や処理方法によっても異なりますが、基本的には、2~6ヶ月ごとに点検が必要です。
浄化槽を使用するうえでは、この法定検査と保守点検の両方ともが必要なので注意しましょう。
ただし、法定検査は時期になったら通知や業者から連絡が来るものではありません。
使用者自ら業者と連絡をとって、検査を依頼する必要があるので忘れずに依頼するようにしましょう。
定期清掃・汲み取りの概要と時期
汲み取りと言われるのが、この定期清掃にあたります。
定期清掃は、年1回以上実施が必要です。
ただし、浄化槽の種類によって必要な回数が異なり、全ばっ気型浄化槽の場合は半年毎に必要になるので注意しましょう。
先述した通り定期清掃(汲み取り)は浄化槽清掃業者への依頼が必要になるので、時期が来たら忘れずに依頼することが必要です。
また、使用者は、清掃・点検の記録を3年間保管する必要があるので、記録を紛失しないようにしましょう。
建物解体で浄化槽撤去する場合の時期や料金相場
浄化槽は、定期的な汲み取り以外でも解体時や下水道への切り替え時に汲み取りが必要になります。
浄化槽には、生活排水や固形物が溜まった状態です。
そのため、汲み取りせずに解体してしまうと、排水や沈殿物が浄化槽から外部に流れ出てしまい、地面などに影響が出る恐れがあります。
場合によっては、不法投棄と見なされてしまう可能性もあるので、注意しなければなりません。
解体前には、汲み取りと最終清掃をしておく必要があるのです。
ここでは、解体前の浄化槽の汲み取りのタイミングや費用について見ていきましょう。
浄化槽撤去前の汲み取りタイミング
解体前の浄化槽の汲み取りタイミングとしては、基本的に解体前日までに完了しておけば問題ありません。
しかし、浄化槽清掃業者によっては、依頼から汲み取りまでに時間が掛かる場合もあります。
解体日までに汲み取りが完了していない場合、解体工事に着工できない可能性もあるので注意が必要です。
直前に依頼してしまうと、解体に間に合わない場合があるので余裕を持って依頼するようにしましょう。
浄化槽撤去料金の相場
解体工事に伴い浄化槽を撤去する場合、一般的な住宅に設置している5~7人槽の浄化槽で3万円~5万円が目安となります。
ただし、浄化槽のサイズや種類によっても異なるので、見積もりを取って比較するようにしましょう。
また、浄化槽の撤去は汲み取りが完了していることが前提となるので、汲み取り費用は別途かかる点にも注意が必要です。
さらに、浄化槽処分の場合は撤去後に土壌の消毒や清掃が必要になるため、追加料金が必要となる場合もあります。
下水道への切り替えなどで解体工事はせずに、浄化槽のみの撤去も可能です。
浄化槽のみの撤去は、解体工事と一緒にする場合よりも高額になる傾向があるので注意しましょう。
浄化槽撤去の方法
浄化槽の撤去方法としては、次の2つがあります。
- 撤去
- 砂埋め
撤去とは、地中から浄化槽の本体や装置などすべてを掘り起こして処分する方法です。
撤去では、工事後には地中に何も残っていない状態になります。
衛生面だけでなくその後の安全性の面でも安心できる撤去方法がこの撤去方法であり、浄化槽の撤去として一般的な方法です。
一方、砂埋めとは浄化槽本体の一部と装置を取り除いたら、残りの本体は穴をあけてそのまま地中に埋設する方法のことを言います。
すべて掘り起こすよりも簡易な方法なため費用も安くなる傾向にありますが、こちらはおすすめできません。
砂埋めは、場合によっては産業廃棄物処理法違反と見なされてしまう可能性が高い方法でもあるのです。
砂埋めをする場合は、事前に自治体に判断を仰ぎ、不法投棄にあたらないかを確認するとよいでしょう。
浄化槽撤去を安くする方法
浄化槽を撤去する場合、汲み取り費用と撤去費用が掛かるため、場合によっては10万円以上掛かる可能性もあります。
浄化槽撤去費用を少しでも安く抑えたい場合には、次のような方法があるので参考にしてください。
- 相見積もりを取る
- 解体工事と一緒に行う
- 補助金を活用する
それぞれ見ていきましょう。
・相見積もりを取る
浄化槽撤去費用は、解体業者によって大きく異なります。
一社のみに見積もりを依頼するのではなく、複数の解体業者に見積もりを依頼し、比較することが大切です。
・解体工事と一緒に行う
浄化槽単独で撤去する場合、費用が割高になりがちです。
浄化槽を撤去する場合は、解体工事と一緒にすることで費用を抑えられるでしょう。
・補助金を活用する
自治体によっては、浄化槽撤去に対して補助金が設けられている場合があります。
例えば、茨城県常総市では「単独処理浄化槽撤去補助」として、浄化槽撤去費用の一部(最高9万円)が補助されます。
ただし、単独浄化槽を撤去し合併浄化槽への交換する場合が対象となるので条件を確認するようにしましょう。
自治体によって補助金の有無や対象条件などが異なるので、解体前に確認することが大切です。
まとめ
浄化槽の汲み取り料金目安や解体前の汲み取りタイミング・解体費用目安についてお伝えしました。
浄化槽撤去前には、浄化槽の汲み取りが必要になります。
汲み取りせずに、撤去してしまうと内部の汚水や沈殿物が流失してしまい回りの環境に悪影響が出てしまう恐れもあるのです。
基本的には、解体工事前までに汲み取りを完了しておく必要があるので、余裕をもって浄化槽清掃業者に連絡をすることが大切です。
また、自治体によっては補助金などが設けられているので活用することで費用を抑えられるでしょう。
この記事を参考に、解体工事に伴う浄化槽の汲み取りについて理解し、スムーズに解体工事ができるようにしましょう。
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