アスベストの有無を築年数・築何年かで判断できますか?
建物の解体を検討していますが、アスベストが含まれていると解体費用に大きな影響が出ると聞きました。解体業者に検査してもらう前に自分でアスベストの有無を調べておきたいのですが、建物が建てられた時期などでアスベストの有無は判断できますか?もしアスベストが使われているとしたら、どんな箇所に使用されているのでしょうか。
断定はできませんが、有無の可能性を判断することはできます。可能性がある場合には、事前調査が必須です。
可能性なら判断できる
高い耐火性と断熱性により、様々な建築物に広く使われてきたアスベストですが、すべての建材に含まれていたわけではないので、「○○年に建てられた建物なら100%含まれている」といった断定の仕方はできません。しかし、築年数と建物の材質によって、ある程度の可能性は判断することはできます。
事前調査について
建築物や工作物を解体・改修工事を行う際、石綿使用の有無について事前調査することが義務付けられております。
尚、事前調査の方法が法定化されました。
これは2020年6月に「大気汚染防止法」の改正が公布され、2021年4月1日から施行されたためです。
「大気汚染防止法」改正については、こちらで詳しく解説しております。
アスベスト規制の歴史
アスベストは年を追うごとに規制が強まってきました。その歴史を紹介します。
1975年(昭和50年)特定化学物質等障害予防規則の改正
石綿含有率が重量の5%を超える場合、吹き付け作業は禁止されました。5%未満であれば、吹き付け作業は許容されていました。
1986年(昭和61年)ILO石綿条約の採択
クリソタイル(白石綿)は管理使用の対象とし、クロシドライト(青石綿)の使用と吹き付け作業の禁止を指導されました。しかし、日本では依然として使用及び製造がなされていました。
1995年(平成7年)労働安全衛生法施行令改正、特定化学物質等障害予防規則改正
アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)の製造、輸入、譲渡、提供、使用が全面禁止されました。更に、石綿含有量が1%を越えるものの吹き付け作業が禁止されました。1%以下の吹き付け作業やクリソタイル(白石綿)の使用は認可されています。
2004年(平成16年)労働安全衛生法施行令改正
代替が困難なものを除くすべての石綿製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。しかし、重量の1%以下を含有するクリソタイル(白石綿)は認められています。
2006(平成18年)労働安全衛生法施行令改正
石綿の含有量が重量の0.1%を越えるものの製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。
2020(令和2年)「大防法」及び「石綿障害予防規則」の一部改正
規制対象がすべての石綿含有建材へ拡大されました(アスベストレベル3建材を規制対象に追加)、
事前調査結果の記録等の作成・保存の義務化が行われ、事前調査方法の変更(図面及び目視による調査の義務付け)がなされました。
他にも事前調査結果の電子報告制度の開始、直接罰の創設等といった点が改正されました。
2006年以前の建物なら要注意
2006年に石綿の含有基準が引き上げられ、
更に2021年4月1日より規制対象がすべての石綿含有建材(アスベストレベル3建材を含む)へ拡大されたことにより、
アスベストが含まれているかという判断が非常に厳しくなっています。
一方で、解体をする建物というのは、現在はまだほとんどが2006年以前に建てられていることと思います。
先ほど解説いたしましたが、事前調査方法が法定化されたため、事前調査により石綿は検出される可能性が高くなります。
注意すべき箇所
利用されている可能性のある箇所は、建物の築年数によって様々ですが、代表的なものをご紹介します。
屋根
住宅のスレート瓦や工場の波板には、高い確率でアスベストが含まれていると思われます。
外壁
住宅のサイディング外壁や工場の波板には、屋根と同様に高い確率でアスベストが含まれています。
内装材
内装のケイ酸カルシウム板やパーライト板にも、アスベストが含まれている可能性があります。
配管の断熱材
工場の配管やダクトに巻かれた断熱材には、アスベストが含まれている可能性があります。
内壁の吹き付け材
工場や立体駐車場等に耐火材として利用された吹き付け材にも、高い確率でアスベストが含まれています。
解体計画時には早めの事前調査と見積もりを
アスベストによる割高な工事は避けたいところですが、
現在の法律では、アスベストの有無について工事前に事前調査で必ず確認する必要があるため
アスベストが建材に使われているかはそこで明らかになります。
解体の見積時には上記のような点を踏まえて、予算などの計画に影響が出ることを防ぐために
早めに見積もりを取っておくことをお勧めいたします。
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