解体中の建物は危険?台風や強風で倒壊・事故を防ぐための注意点

家の解体工事は、建物を壊すだけのシンプルな作業に見えますが、実は「解体途中の建物が倒れてしまうのでは?」「台風や強風で足場や養生シートが飛んで近隣に被害を出さないか?」といったリスクを心配する声も少なくありません。
実際、過去には工事中の建物や足場が倒れて事故につながったケースも報告されています。
本記事では、解体中の建物に潜むリスクと業者が行う安全対策、さらに施主が注意すべきポイントをわかりやすく解説します。安全な工事を進めるために、ぜひ参考にしてください。
解体中の建物に潜む3つのリスク
解体工事は安全に配慮して行われますが、途中の状態はどうしても不安定になりやすく、いくつかのリスクが伴います。特に注意すべきなのは次の3点です。
① 倒壊リスク
建物を一度に壊すのではなく、部分ごとに解体していくため、途中の状態ではバランスを崩しやすくなります。工事の進め方を誤ったり、十分な補強をしなかった場合には、建物の一部が思わぬ方向へ倒れてしまう危険があります。
② 飛散リスク
解体の過程では、瓦や木材、コンクリート片などの建材が飛ぶ可能性があります。また、現場を覆う養生シートや足場も、強風や台風の影響を受けると外れて飛散する恐れがあります。飛散物が人や車に当たると、大きな事故につながりかねません。
③ 近隣被害リスク
建材や足場が倒れたり飛んだりした場合、隣家の壁や窓ガラス、駐車中の車などに損害を与える可能性があります。特に住宅密集地では被害が拡大しやすいため、近隣トラブルに発展するリスクも考えられます。
解体中の事故は実際に起きている
解体工事では通常、安全対策を徹底して進められますが、残念ながら過去には事故が発生した事例もあります。代表的なものを紹介します。
① 外壁の倒壊による死亡事故(2010年・岐阜県)
解体中の建物の外壁が倒れ、高校生が下敷きになり亡くなるという痛ましい事故がありました。原因は、外壁を支えるワイヤーの設置や現場周辺の安全確保が不十分だったこと。適切な補強や警備員の配置をしていれば防げた事故とされています。
② 足場の倒壊による死亡事故(2012年・埼玉県)
マンションの解体工事現場で、工事用の足場が強風にあおられて倒れ、子どもが下敷きになり命を落とす事故が発生しました。こちらも、足場を建物にしっかり固定していなかったことが大きな原因です。工事の手順を省略したことが悲劇につながりました。
③ その他の事故例
- 強風時に養生シートがはがれ、近隣住宅の窓ガラスを割ってしまったケース
- 解体中の建材が飛び、通行人や車に当たって損害が生じたケース
これらの事例からわかるのは、「安全対策を怠った工事は重大な事故を引き起こす」 ということです。
施主としては「業者がどのような安全管理をしているか」を事前に確認することが、事故防止につながります。

解体中でも安全を守るために業者が行う工夫とは?
解体工事は危険を伴う作業ですが、事故を防ぐために業者はさまざまな安全対策を取り入れています。代表的なものを紹介します。

① 解体の順序を工夫する
建物を壊す際は、隣家や道路に倒れ込まないように、遠い部分から順に解体を進めます。また、崩れる可能性がある部分を残したまま工事を終えることはせず、日をまたぐ場合は危険な部位を取り除いてから作業を中断します。
② 強風や台風に備える
現場を覆う養生シートや足場は、風の影響を受けやすい部分です。そのため、天気予報で強風が予想されるときには、養生シートを一時的に外す・足場を補強するなどの対応を行います。台風シーズンでは特に注意が必要です。
③ 飛散防止対策
瓦や木材などの建材が飛ばないよう、散水でほこりを抑えたり、飛散防止ネットを設置したりします。これにより、周囲の安全を確保すると同時に、近隣への迷惑を軽減することができます。
④ 警備員や仮囲いの配置
人や車の通行がある道路に面している場合、警備員を配置して歩行者や車両の安全を守ります。また、現場周囲には仮囲いを設置し、第三者が不用意に立ち入らないようにしています。
解体中のリスクを減らすために施主ができること
解体工事の安全は業者に任せる部分が大きいですが、施主側にもできる工夫や心がけがあります。以下の点を意識することで、事故リスクを減らすことができます。
① 無理な工期・無理な値引きを要求しない
「できるだけ早く終わらせてほしい」「もっと安くしてほしい」といった無理な要求は、業者が安全対策を省略する原因になりかねません。工事に必要な日数と費用を確保することが、安全性を守るうえで大切です。
② 業者に安全対策を確認する
見積りを依頼する段階で「強風時はどのように対応しますか?」「養生シートや足場の安全対策は?」と質問してみましょう。誠実な業者であれば、具体的な対応方法を説明してくれるはずです。
③ 近隣への配慮を怠らない
工事中の騒音や振動、埃は避けられません。事前に近隣住民へ挨拶や説明を行い、トラブルを防ぐことも施主の役割です。万が一の事故が起きた場合にも「丁寧に対応していた施主」として信頼を得やすくなります。
④ 台風シーズンの工期は要注意
特に台風が多い時期に解体工事を行う場合は、スケジュール調整が重要です。事前に「台風接近時はどう対応するのか」確認しておくと安心です。
解体中の事故を防ぐには?安全対策を徹底する業者の選び方
解体工事は一度始まると施主自身が細かく安全管理をするのは難しく、最終的には「どんな業者に依頼するか」で安全性が大きく変わります。
信頼できる業者は、以下のような特徴があります。
- 見積りの内容に「安全対策」や「工事手順」の説明が含まれている
- 強風・台風時の対応について具体的なルールを持っている
- 近隣住民への説明や挨拶を積極的に行う
- 無理な工期・費用ではなく、適切な条件で工事を提案してくれる
一方、モラルの低い業者に依頼すると、手間を省いて安全対策が不十分なまま工事を進めてしまうこともあり、事故や近隣トラブルにつながりかねません。
複数業者の見積りを比較し、説明が丁寧で信頼できる会社を選ぶことが最も重要な安全対策 です。
まとめ
解体工事は「建物を壊すだけ」と思われがちですが、途中の状態は不安定で、倒壊・飛散・近隣被害といったリスクがつきものです。実際に事故が起きた事例もあり、対策を怠れば大きな被害につながることがあります。
しかし、正しい工事手順と安全対策を行う業者に依頼すれば、リスクを最小限に抑えることができます。施主としても、無理な要求をせず、工事内容や安全対策を確認することが大切です。
最終的に事故を防ぐ鍵は、信頼できる業者を選ぶこと にあります。
複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなく安全面や対応力を比較して、安心して任せられる会社を見つけましょう。
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